HOME|本館ブログ|東京を描く|水彩画|万葉集をよむ|フランス詩選|プロフィール|掲示板|サイトマップ |
幽蘭生前庭(陶淵明:飲酒其十七) |
幽蘭生前庭 幽蘭 前庭に生じ 含薫待清風 薫を含んで清風を待つ 清風脱然至 清風 脱然として至らば 見別蕭艾中 蕭艾の中より別たれん 行行失故路 行き行きて故路を失するも 任道或能通 道に任せば或ひは能く通ぜん 覺悟當念還 覺悟して當に還るを念ふべし 鳥盡廢良弓 鳥盡くれば良弓廢てらる かすかなランの花が前庭に開き、香りを含んで風の吹くのを待っている、のびやかに風が吹き渡ると、その香りがあたりに立ち込めて、雑草の中から目立つのだ 歩いているうちに道に迷っても、道に任せていれば再びもとの道に通じることもあるだろう、覚悟して正しい道に戻ろう、鳥がとりつくされれば、良弓も無用のものとなるから ランの香りといい、道に迷うといい、良弓といい、この詩もかなり複雑な感情を歌いこんでいるようだ。 最後の節は、史記准陰侯列伝に「狡兎死して 良狗烹られ 高鳥盡きて 良弓藏さる」とあるのに基づく。恐らく晋から宋への交代のかなで、血なまぐさい闘争の演じられたことを暗示しているのではないか、そう解釈されている。 |
前へ|HOME|飲酒|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007 |