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東方有一士:陶淵明擬古九首其五 |
擬古其五 東方有一士 東方に一士有り 被服常不完 被服常に完からず 三旬九遇食 三旬に九たび食に遇ひ 十年著一冠 十年一冠を著す 辛勤無此比 辛勤此に比ぶる無きも 常有好容顏 常に好き容顏有り 我欲觀其人 我 其の人を觀んと欲し 晨去越河關 晨に去って河關を越ゆ 青松夾路生 青松 路を夾んで生じ 白雲宿簷端 白雲 簷端に宿る 知我故來意 我の故に來れる意を知り 取琴爲我彈 琴を取って我が爲に彈ず 上絃驚別鶴 上絃 別鶴を驚かせ 下絃操孤鸞 下絃 孤鸞を操る 願留就君住 願はくは留まりて君に就いて住み 從今至歳寒 今より歳寒に至らん 東方に一人の男がいる、服はぼろを着、月に9度しか食事せず、10年間同じ冠をかぶっている 貧しさにかけては比べるものがないが、いつもニコニコ顔で過ごしている、そんな男を見たいと思い、朝に旅立って河關を越えた 青松が道の両側に生え、白雲が軒端にかかっている、自分がやってきたわけを知ると、男は歓迎して琴を弾いてくれた 上弦では別鶴の曲を弾き、下弦では孤鸞の曲を弾く、願わくば一緒に暮らし、冬を迎えたいものだ |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007 |