陶淵明の世界

HOME本館ブログ東京を描く水彩画万葉集をよむフランス詩選プロフィール掲示板サイトマップ



日暮天無雲:陶淵明擬古九首其七 


擬古其七

  日暮天無雲  日暮れて天に雲無く
  春風扇微和  春風 微和を扇ぐ
  佳人美清夜  佳人 清夜を美とし
  達曙酣且歌  曙に達するまで酣しみ且つ歌ふ
  歌竟長歎息  歌ひ竟れば長歎息し
  持此感人多  此を持て人を感ぜしむること多し
  皎皎雲間月  皎皎たり雲間の月
  灼灼葉中華  灼灼たり葉中の華
  豈無一時好  豈に一時の好無からんや
  不久當如何  久しからざるは當に如何すべき

日が暮れて天には雲ひとつなく、春風が穏やかに吹いている、佳人はこの夜を良しとし、暁に至るまで楽しみかつ歌を歌った、歌い終わると長いため息をつき、人々はために感ずるところがあった

雲間の月は皎皎と輝き、葉の中の花は灼灼と燃え立つ、これらのように佳人もまた短いながら華やかな時期があるが、それが永久に続かないのは如何ともしがたいことなのだ



前へHOME次へ








作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである