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山河忽ち改まる:陶淵明擬古其九 |
擬古其九 種桑長江邊 桑を種う長江の邊 三年望當採 三年當に採るべしと望む 枝條始欲茂 枝條始めて茂らんと欲し 忽値山河改 忽ち山河の改むるに値ふ 柯葉自摧折 柯葉自づから摧け折れ 根株浮滄海 根株滄海に浮ぶ 春蠶既無食 春蠶既に食無く 寒衣欲誰待 寒衣誰をか待たんと欲する 本不植高原 本と高原に植ゑず 今日復何悔 今日復た何をか悔ひん 桑の木を長江のほとりに植え、3年後に葉を収穫しようと望んだ、しかるに枝に葉が繁ろうとする時期に及び、たちまち山河がひっくり返った 枝は砕けて葉は散り、根っこや株は水面に浮かぶ始末、蚕に餌をやろうにも桑の葉はなく、このままでは冬の衣も作れないだろう もともと高原に植えておけばよかったのだ、いまさら悔やんでみても始まらぬ 桑の苗を川のほとりに植えたばかりに、洪水のために桑の葉を収穫できなかった恨みを語る、高原に植えておけばこんなことはなかったのにと悔やむが、後の祭と自嘲する詩である。 一説には、山河が改まるは、劉裕による政変をさすともいう |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007 |