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陶淵明貧士を詠ず其一「萬族各有託」 |
詠貧士其一 萬族各有託 萬族各おの託する有るに 孤雲獨無依 孤雲獨り依る無し 曖曖空中滅 曖曖として空中に滅し 何時見餘暉 何れの時にか餘暉を見はさん 朝霞開宿霧 朝霞宿霧を開き 衆鳥相與飛 衆鳥相ひ與に飛ぶ 遲遲出林鳥 遲遲として林を出でし鳥 未夕復來歸 未だ夕ならざるに復た來り歸る 量力守故轍 力を量りて故轍を守る 豈不寒與飢 豈に寒と飢とあらざらんや 知音苟不存 知音苟しくも存せずんば 已矣何所悲 已んぬるかな何の悲しむ所ぞ どんなものでも頼りとするものがいるのに、孤雲は一人ぼっちでよるべがない、ぼんやりと空中に消え、再び姿を見せることはない 朝霞が夜霧を吹き払い、鳥たちがいっせいに飛び立つ、その中でぐずぐずと一人林を飛び立った鳥は、夕べを前にしてもとの所に帰ってきた 自分の力を考えてもとのままに生きようとするのだろう、だが一人では飢えや寒さを凌ぐのは厳しいだろう、仲間がいないというのは辛いことだ、だがいかんともすることが出来ぬ、悲しんでばかりいられないのだ 一首目のこの詩は、貧士を孤独な鳥にたとえ、さらにその姿に己の姿を重ね合わせたものであろう。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007 |