陶淵明の世界

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 衰榮無定在(陶淵明:飮酒其一)


  衰榮無定在  衰榮 定在無く
  彼此更共之  彼此 更も之を共にす
  邵生瓜田中  邵生 瓜田の中
  寧似東陵時  寧ぞ東陵の時に似んや
  寒暑有代謝  寒暑 代謝有り
  人道毎如茲  人道も毎に茲の如し
  達人解其會  達人 其の會を解し
  逝將不復疑  逝將(ゆくゆく)復た疑はざらんとす
  忽與一樽酒  忽ち一樽の酒と
  日夕歡相持  日夕 歡びて相ひ持せん

栄枯盛衰は定まりなく、浮いたり沈んだりするものだ、かの邵生は今は瓜田で働いているが、これが秦の時代に東陵公だったと誰が思うだろうか、寒暑には代謝があるように、人にも浮き沈みがあるのだ

達人はこの理を悟って、疑うことがない、だから一樽の酒とともに、日夕気ままに過ごすのがよいのだ


飲酒二十首は人生のはかなさ、人の命運の移ろいやすさを説くことから始まる。栄耀を極めた邵生のようなものでも、世が移ると零落して、自ら瓜を作って飢えを凌がねばならなかった。だから、こせこせとすることをやめ、今を楽しもうではないか。一樽の酒は、その楽しみを分かち合うには最良の友だ。さあ、杯を傾けよう。

この詩からは、陶淵明のそのような気持ちが伝わってくる。



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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
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