陶淵明の世界

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 栖栖失群鳥(陶淵明:飲酒其四)


  栖栖失群鳥  栖栖たり群を失へる鳥
  日暮猶獨飛  日暮れて猶ほ獨り飛ぶ
  徘徊無定止  徘徊して定止するなく
  夜夜聲轉悲  夜夜 聲は轉た悲し
  視ソ思清遠  視ソ 清遠を思ひ
  去來何依依  去來 何ぞ依依たる
  因値孤生松  孤生の松に値へるに因り
  歛翼遙來歸  翼を歛めて遙かに來り歸る
  勁風無榮木  勁風に榮木無きも
  此蔭獨不衰  此の蔭獨り衰へず
  託身已得所  身を託するに已に所を得たり
  千載不相違  千載 相ひ違はざらん

群れにはぐれた鳥が不安げに、日が暮れてもなお一人飛んでいる、徘徊して一箇所にとどまることなく、夜毎に泣く声はいよいよ悲しい、激しい叫びは遠くの仲間を求めているのか、行きつ戻りつして後ろ髪を引かれているようだ(栖栖:不安な様子、視ソ:激しく叫ぶ音)

一本ぽつんと立っている松を見つけると、翼を収めて身を休めた、冷たい風に大方の木は葉を落としたが、この松だけは緑の影をたたえている、身を託するには心強い、これからもずっと共に生きていこう



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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
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